【田島ひでお質問】
次に、
地震等災害発災後の対応についてお尋ねいたします。
六千四百名を超える犠牲者を初め、
神戸市を中心とする阪神・淡路地方に多大な被害をもたらした阪神・淡路大地震から、
はや六年が過ぎました。 哀悼とともに、 教訓と反省を乗せ、 破壊から建設へと力強い回復を歩み、
頑張っておられるすべての皆様に敬意を表するものであります。
さて、
当県では、 駿河湾から遠州灘、 そして県中部の内陸部の広い範囲に震源域がかかるマグニチュード八クラスの巨大地震である東海地震。
また県東部においては、 神奈川県西部を震源とし、 県の東部地域に震度六以上の揺れが想定されるという神奈川県西部地震。
静岡県側から見ますと、 熱海市初島東部沖地震とも言えるものであります。
よって、 静岡県は地震予知連絡会が指定する二つの観測強化地域を持つことになります。
去る二月七日、 熱海市において、 富士常葉大学環境防災学部重川助教授による地震防災講演が開催されました。
神戸市での大震災からの教訓を踏まえ、 国内の行政による事前の防災対策は世界でトップに進んでいる。
それが逆に、 市民は行政に頼ればいいと思うようになり、 発災後の対策ができなくなってしまったと指摘し、
災害が起こった後に我々は何をすべきか。 生命を守るのは当たり前と思うだろうが、
人を助ける前にまず自分が助かることを考える。 そうした人だけが前へ進めるというものでした。
私はこのような観点から、 発災後の対応について次の二点についてお尋ねいたします。
第一は、 地震等災害直後の火災に対する初期消火についてであります。
阪神・淡路大震災における監察医のまとめによりますと、 死者の死亡原因として、
建物の崩壊、 家具の転倒による圧死が八四%、 そのうち十五分以内に亡くなった人、
すなわちほとんど即死だった死者九四%とあります。 このことは、 知事が取り組もうとしている木造住宅の耐震対策、
いわゆる倒壊ゼロ対策の重要性をあらわすものと思います。 ですから、 建物内に閉じ込められ、
火災で亡くなられた人を救うことができたならば、 数字の上では犠牲者の数を限りなく小さくできるものと確信いたすものであります。
各自治体における上水道の環境に違いがあると思いますが、 昨今貯水タンクは自動遮断弁の設置により、
設定震度以上の揺れや給水管の破裂等があった場合、 遮断弁が作動し流出を防ぐものとなっております。
また、 遮断弁の復帰は現地に出向いての手動作業によるものです。
そこで、
防災の観点から、 発災直後の上水利用は初期消火優先と思案するところですが、
飲料水確保と消火用水確保との整合性について、 また消火用水の確保についていかがお考えかお尋ねいたします。
総務部長 (鈴木雅近君)
発災後の対応についてのうち、 初期消火のための水確保策についてお答えいたします。
阪神・淡路大震災の発災直後の初期消火活動では、 上水道活用の消火栓は管路の破断等により使用不能となり、
消火活動は困難をきわめたとの報告があります。 県では震災時の消火活動を迅速かつ的確に行うため、
耐震性貯水槽や防火水槽、 防火井戸、 プール、 さらには河川等の自然水利の利用も含め、
多様な水利が確保できるよう市町村を指導し、 その整備を支援してきたところでございます。
上水道における飲料水確保と消火用水確保との整合性については、 緊急事態の場合、
まず消火用水の確保が第一と考えておりますが、 震災時には上水道が使用できないことを想定し、
耐震性貯水槽等の消防水利により対処しているところでございます。 いずれにいたしましても、
消防機関と水道部局との間で、 震災時等に作動する緊急遮断弁の開閉措置やその情報伝達を迅速かつ円滑に行うことにより、
飲料水の確保も含めた有効な水の確保ができるものと考えております。
また、
消火用水の確保につきましては、 今後とも市町村に対し、 多様な水利の確保について指導の徹底に努めるとともに、
国の補助や県単独の補助により、 震災時にも対応できる耐震性貯水槽等のさらなる整備を促進し、
消火用水の確保に万全を期してまいります。
第二は、 地震等災害時における人工透析患者の医療機関への輸送、 医療機関の確保と市町村や他県との連携についてであります。
昨年六月十八日、 気温も暖かくなり始めた熱海市観光会館において、 人工透析を必要とする患者さんの静岡県大会が開催されました。
当時、 私は市議会議長の立場で挨拶に立ったのですが、 御挨拶の初めは 「ようこそ熱海温泉へ、
ありがとうございます」 が用意されておったのですが、 参加者皆さんの切実な報告の後でしたので、
「皆さんきょうは御苦労さまです」 へと、 言葉は自然に変わっておりました。
自分の命のとうとさ、 そして時間の大切さなど、 小手先ではなく、 体を張った真心からの行動をと、
強く痛感させられた大会でありました。 この場をお借りして、 大会へお誘いいただいた同志議員に感謝申し上げる次第であります。
さて、 お尋ねですが、 県内には約七千人の人工透析患者さんがおられるとお伺いしております。
患者さんは、 災害発災前から、 災害時における透析環境、 すなわち自分の命の確保についておびえているのが現況ではないでしょうか。
自分だけでは命を守られない、 ここに行政の出番があるのではないでしょうか。
そこで一に、 被災地内での医療機関への輸送確保とともに、 被災地の劣悪な条件下での透析よりも、
遠隔地の十分な透析ができる施設への速やかな搬送をどのように計画されているのか。
二つに、 厚生労働省において、 全国ネットである広域災害・救急医療情報システムが整備されつつあり、
静岡県は既に接続されておるとのことです。 去る一月三十日静岡新聞夕刊において、
磐田郡水窪町と佐久間町で、 県境を越えた救急業務の相互応援体制が整わず、
救急救命活動に支障を来すおそれがあるとの報道もあり、 広域医療支援体制の整備を改めて確認するものでした。
県境に位置する熱海市も当然同じ課題を抱えており、 隣接の神奈川県との間の医療連携活動のあり方について、
市町村との連携を含め県はいかがお考えかお伺いいたします。
健康福祉部長 (木本陽三君)
発災後の対応についてのうち、 人工透析患者への対応についてお答えいたします。
まず、 患者の輸送と医療機関の確保についてでありますが、 慢性腎障害による人工透析による治療を受けられている方々につきましては、
治療が途絶えることなく継続して行われる必要がありますことから、 特に地震災害時における医療の確保は重大な課題でございます。
このため、 県では医療施設の耐震化などを進めておりますが、 通院している医療施設が被災し治療を受けられなくなった場合には、
患者を県内または他県の医療施設へ搬送する体制を確保する必要があります。
とりわけ東海地震などの場合は、 負傷者などが同時に多発し、 通常の消防救急の搬送能力を超える事態が予想されますことから、
必要に応じて広域的な搬送体制をとることとしております。
県といたしましては、
来年度から導入を予定しているドクターヘリや防災ヘリ、 防災船 「希望」
の運用を初めとし、 自衛隊、 海上保安庁のほか、 他県や民間の応援も得て、
陸・海・空の機動力を駆使し、 搬送体制の確保に努めてまいりたと考えております。
次に、 広域による医療支援体制についてであります。
予想される東海地震などの災害に備えて、
ハード、 ソフトの両面から、 医療救護対策の強化を図っているところであります。
人工透析患者の方々などへの医療につきましては、 被災していない隣接県などの医療施設で受けられるような広域的な医療支援体制をとることも重要であります。
このため県では、 全国の都県のほか神奈川県を含む関東、 東海などの相互に支援がしやすい近接都県との間で、
災害時の応援協定を締結するなど広域的な連携体制の確保に努めております。
とりわけ神奈川県との間では、 山梨県を含む三県合同の防災訓練を毎年実施するなど連携体制の強化を図っております。
また情報面におきましても、 災害時に人工透析患者などの医療が受けられる医療施設を確認する必要がありますことから、
医療施設の被害の有無や人工透析を含む診療機能の状況、 患者の受け入れ規模などの情報を全国レベルで共用できる広域災害・救急医療情報システムを県内の市町村や医療施設、
消防機関などへ配備し、 平成十一年十二月から運用を開始しているところであります。
今後とも災害時に臨機応変に対処できるよう市町村と連携を密にしながら、
神奈川県などの隣接県や国との広域的な医療支援体制の確立に努めてまいりたいと考えております。