温泉の利活用について
【田島ひでお質問】
 
温泉の利活用についてお伺いします。
 県では、 県立がんセンターの開院を機会に、 すぐれた潜在能力や地域の資源を生かしてファルマバレー構想を推進しているところです。 昨年県が、 同構想を全国紙に広告を掲載しましたが、 そのキャッチフレーズは、 「世界の寿命は静岡県が延ばします」 でした。 世界の寿命に貢献するのは大変結構でありますが、 まずは我が静岡県民の健康長寿を実現することが何よりも大切と考えます。 残念ながら構想の中心となる東部地域、 中でも私の地元熱海の男性平均寿命は県内市町村の中でも最下位と、 他の地域に比べて劣っている状況にあります。 本来は伊豆に保養に訪れる人々のもてなし、 サービスを提供する側がだれよりも健康で元気であるべきではないでしょうか。 私はそのかぎを握るのは温泉ではないかと思うのであります。 そこで二点お伺いいたします。
 まず、 温泉を利用した県民の健康増進についてであります。
 我が国では、 古来、 湯治として保養のために温泉が活用されてきましたが、 近年は温泉の医学的研究成果を取り入れ、 リハビリ、 健康づくりなどに広く利用され、 また医療費削減につながる予防医療の観点からも、 温泉の活用が期待されているところであります。
 しかし、 このようなすぐれた効能を持つ温泉資源が県民の身近にありながら、 その受け皿となる施設が少ないため、 温泉の恵みが十分に生かされていないのも事実であります。 厚生労働大臣の認定制度である温泉利用型健康増進施設の制度が十余年前に設けられたものの、 現在までの認定施設は全国でわずか三十施設程度にとどまり本県に至ってはゼロであります。 特に伊豆地域においては、 旅館、 ホテルの休廃業が後を絶たない中で、 温泉療養滞在客の長期宿泊という観点からも、 地域活性の切り札としても期待されているところであります。
 昨年十二月、 東部県行政センター主催により健康づくりやいやしを目的としたウエルネスツーリズムの可能性や、 受け入れ体制のあり方などを話し合う交流会が天城湯ヶ島町で開催されるなど、 県を初め伊豆地域の市町村やNPOを中心に、 温泉などの地域資源を健康に活用する研究、 実践が行われ、 宿泊客や地域住民に好評を得ていると伺っており、 一層推進していく必要があると考えます。 私は温泉研究所的な機関の設置などにより、 幅広い伊豆、 そして県全体を巻き込んだ温泉活用を図り、 温泉利用型健康増進施設の普及を進めるべきだと思いますが、 今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたます。
知事 (石川嘉延君)  田島議員にお答えをいたします。
 
温泉の利活用についてのうち、 温泉利用型健康増進施設の普及であります。
 国が定めました温泉利用型健康増進施設の普及の問題でありますが、 国においても認定要件の緩和を検討し始めたというふうにも伺っております。 県は、 このための調査研究対象というかモデルを選ぶということでありましたので、 現在、 中伊豆地区に誘致をいたしました。 期待をするわけでありますが、 この要件緩和も例えて言えば、 今まで大学院レベルの要件だったのを急に大学とか高等学校レベルに引き下げてあちこちにたくさんつくって、 つくってみたけど、 何だそんなものかと言われるような意味の規制緩和というか要件緩和では意味がないと思うんですね。 そういう点も十分注視しながら、 必要な意見は国にも申し上げていきたいと考えております。
 さらに、 熱海市や天城湯ヶ島町から国に提出された構造改革特区申請の中でも、 今の要件緩和が盛り込まれておりますけれども、 グレードの引き下げにつながるような要件緩和では意味がないと思いますので、 必要以上というか、 不必要ないろいろ施設、 設備の基準があるようにも思いますので、 そういうサイドからの規制緩和が進むように、 この特区の問題に絡んでも国に働きかけていきたいと思います。
 それ以外に県単独の考え方として、 伊豆地域でいろんなことをやっておるわけでありますが、 例えば平成十二年度から温泉を健康づくりに活用したモデル事業、 これを展開をしております。 この結果、 温泉会館でのヘルスアップ教室、 それから温泉浴を取り入れたウエルネスツアーなど、 温泉を利活用した健康づくりの取り組みが伊豆地域を中心にして県内各地に広がり始めております。
 県としては、 専門研究機関との連携を深めながら温泉のより効果的な利用方法を検討するほか、 温泉を活用した健康づくりリーダーの育成や、 関係者のネットワークづくりなどの体制整備の支援を通じて、 県内各地への普及を図っていきたいと考えております。
 ファルマバレー構想も、 新薬の開発とか医療や先端技術機器の開発にとどまらずに、 このような温泉施設には限らないわけでありますが、 いわゆるウエルネス産業ですね、 こういう分野の振興、 集積も視野に入っているわけでありまして、 温泉資源を有する本県としては、 このウエルネス産業の振興、 集積もファルマバレー構想推進の中で重要要素として考えてるわけです。
 今後大きく実るかどうかわかりませんが、 先ごろ東京大学の体育の先生、 小林寛道という教授がおられますが、 この方は日本のスピードスケートや陸上競技の競技力向上にユニークな視点からいろいろな工夫を凝らして大変実績を上げて注目されてる先生でありますが、 この方にお目にかかって、 今後ウエルネス産業につなげたらいいんじゃないかと思うようないろいろ考え方をお伺いしました。
 といいますのは、 現在、 高齢社会の進行に伴ってリハビリの必要性が非常に高まってきております。 そういうことを必要とする人が随分出てきておりますが、 このリハビリについてはまだいろいろ解明されてない要素がたくさんあるようでありますが、 特にスポーツ生理学を専門とするこの小林寛道先生の所見によると、 我々成人すると、 あるいは子供以上になって直立して歩けるようになって、 人間としての意識がきちんとしてきますと、 歩くとか手を動かすとか、 これはもう当たり前にできると思っているわけであります。 特に何か意識して手を動かすとか足を動かすとかっていうのは、 よっぽど何か競技をするっていうときぐらいしか意識しないんですね。 ところが、 これは人間が学習をして実は身につけたものであって、 例えば脳のいろいろな血管、 脳障害などで歩行機能に障害を生じた場合に、 あるいは脳障害を生じた場合に、 四肢に障害が出ますね。 そのリハビリの過程では、 もう一遍、 言うなれば赤ん坊のときと同じように、 歩くとか手を動かすことについて十分学習しないとだめなんだそうですね。
 例えばいすから立ち上がるにしても、 これは病気になる前に何の苦もなくやってたから、 立ち上がれ、 一生懸命努力しなさいと、 そう言えば訓練してできるかと思うと実はそうではなくて、 どうやったら立ち上がれるかっていうことから教えないとだめなんだそうです。 教えるためにはただ言っただけじゃだめで、 周りで立ち上がりなさいこうしなさいって言うだけじゃだめで、 それを体が身につくような補助的な道具ですね、 それがあると極めてリハビリ効果が高まるというようなことを言っておられるわけです。
 そういう医学だけではなくてスポーツ生理学ですね、 そういう分野とも連携をしながら、 今後このウエルネスという観点から相当静岡県もいろんなことができるんじゃないかという感じがしますので、 今後、 伊豆地域、 温泉が鬼に金棒ということにもなると思いますので、 そういう視点から取り組んでいきたいと考えているところでございます。